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そんな様々のおかげで新しく住み替えるタイミングを逸しはや十三年、ここに住み着いている。
「ただいまー」
返事がないのは知りつつも、玄関のドアをあけるとつい小声で挨拶をしてしまう。近頃独り言が増えた。よくテレビや洗濯機にも話しかけてしまう。
玄関の鏡をふっと見ると、くたびれた自分の顔がばっちり映り込む。若干ほうれい線出てきちゃったなあ。
「ふう」
鞄を置いてクローゼットを開け、仁王立ちで眺める。ここからはご褒美タイムに突入である。ただいま、私の恋人たち。
「うん。我ながら壮観。」
扉を開くと目に飛び込んでくる、壁面一杯に積み上げられた乙女ゲームの山。
十年かけて集めたゲームたちは、趣味でありコレクションであり、もはや宝物でもある。
「積みゲー消化しようかな。いや!誕生日だしあっちにしよ。」
クローゼットは開けっぱなして、鞄の隙間に覗くスマホを引っ張りだし、ベッドに寝そべる。
スワイプして目当てのアプリをタップすると、『プリンス☆ファンタジー』のきらびやかなロゴが画面いっぱいに映し出される。
「ログインメッセージがいつもと違うはず…あ!やっぱりー!」
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