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中学校まで一緒だった宇治原くん。
中学校時代、いつも私の事を『ダイフク』と呼んでからかってきた。
名前のどこにもダイもフクも付いてない。
ただ、私のほっぺたをつまんだその感触が大福みたいだったからと本人は笑いながら言っていた。
高校で離れてからも私の心の奥に残る黒いシミ。
もう二度と会いたくなかったのに……。
丁度一週間前偶然の再会。
思い返せばあれがいけなかった。
私が座っていた隣のベンチに彼が座ってきた。
あの頃よりぐんと背が伸びていて、最初彼とは気付かなかった。
呑気にお弁当を食べていた私の存在など気にせず、疲れ切った表情で煙草を燻らせる。
タバコを一本吸い終えた彼は、お昼時だというのに何も食べる様子もなく立ち上がった。
それが気になって、つい目で追った所で彼と目が合ってしまった。
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