となりとなって

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となりとなって

私の名は、田山成美。 内縁の夫であるタケルと暮らしていたが 彼は仕事にばかり気をとられ私に構うことはない。 最初のうちはそれでもいいて思っていたが、 次第に寂しさが増していく。 何をしても「ありがとう」の言葉も返さない。 次第に心が荒んでいく。 ある日、 私はアパートの階段に食用油をこぼした。 それは故意ではなかったが、 そのとき、私の中で何かが問いかけてきた。 「このままにしておけば、彼が階段から落ちるかも……」 ケガをすれば、仕事を休んで私の相手をしてくれるかもしれない。 それがあんなことになるなんて…… 私は、彼を殺してしまった罪悪感で寝込んでしまった。 それまでのムリもあったのかもしれないが、彼を殺してしまったショックから体調を崩し、そのまま肺炎になって病院に運ばれてしまった。 運ばれたのは、彼が死んだ病院。 彼が死んだ病室のとなりが、私の病院。 いつまでも、私のとなりには彼がいる。 そういった運命なのかもしれない。 医師も首をかしげるほど、何故か私の体力は回復しない。 自分でも死が近付くのを感じていた。 そんなあるとき、突然私の体力が回復した。 私は彼に許された気がした。 退院した私は、入院して行けなかった彼のお墓に行くと、そのまま警察に足を運んだ。 彼を殺してしまった罪を……償いたい。
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