1人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
となりとなって
私の名は、田山成美。
内縁の夫であるタケルと暮らしていたが
彼は仕事にばかり気をとられ私に構うことはない。
最初のうちはそれでもいいて思っていたが、
次第に寂しさが増していく。
何をしても「ありがとう」の言葉も返さない。
次第に心が荒んでいく。
ある日、
私はアパートの階段に食用油をこぼした。
それは故意ではなかったが、
そのとき、私の中で何かが問いかけてきた。
「このままにしておけば、彼が階段から落ちるかも……」
ケガをすれば、仕事を休んで私の相手をしてくれるかもしれない。
それがあんなことになるなんて……
私は、彼を殺してしまった罪悪感で寝込んでしまった。
それまでのムリもあったのかもしれないが、彼を殺してしまったショックから体調を崩し、そのまま肺炎になって病院に運ばれてしまった。
運ばれたのは、彼が死んだ病院。
彼が死んだ病室のとなりが、私の病院。
いつまでも、私のとなりには彼がいる。
そういった運命なのかもしれない。
医師も首をかしげるほど、何故か私の体力は回復しない。
自分でも死が近付くのを感じていた。
そんなあるとき、突然私の体力が回復した。
私は彼に許された気がした。
退院した私は、入院して行けなかった彼のお墓に行くと、そのまま警察に足を運んだ。
彼を殺してしまった罪を……償いたい。
最初のコメントを投稿しよう!