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「私をここから、この薄汚い冥界から地上に出すこと。
それが私の2つ目の願い」
「では、3つ目は?」
女神シャナンが訊ねると、アルラは少しだけ間を置いた。
「3つ目の願いなんて無い」
アルラは、口元を歪めた。
「だって、3つ目の願いを叶えてもらったら、私は醜い冥界の王と結婚しなくちゃならないんだから。
王の妻になることも、この冥界で暮らすことも、まっぴらごめんだわ。
だから、私は願いを2つ叶えてもらえばそれでいいの。
それで、冥界とも、冥界の王ともおさらば。
私には卓越した美貌があるし、王に叶えてもらいたいことなんて他には無い。
ただ、あなたを冥界に堕としたかっただけ。
それだけで、もう十分に満足だわ」
「冥界の王を騙すつもりなのね」
「騙す?
醜悪な冥界の王と、天界の美を司る女神である私が釣り合うはずがないでしょう。
私が冥界の王の妻になるなんて、あり得ないのよ」
女神アルラは悪びれもせずに言った。
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