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霊能力者の家 /サアヤ、訪問
ピンポーン
インターホンの音が家の中に鳴り響き、わたしはすぐに玄関へ向かった。
「いらっしゃい、サアヤ」
「ノウコさん、久し振り」
前回の事件と出会った時と変わらず、サアヤは人なつっこい笑みを浮かべた。
「コレ、お土産。今バイトしているケーキ屋のクッキー」
四角い紙箱入りのクッキーは、開けてなくても甘くて良い匂いがする。
「ありがとう。お茶は何を飲む?」
「ハーブティー。少しスっとしたのが良いなぁ」
「はいはい。それじゃあ奥へどうぞ」
「うん!」
彼女は女子高校生らしく、明るく活発だ。
―その身に、深く重いモノを背負っているとは思えないぐらいに。
ティーセットを持って部屋に入ると、サアヤはイスに座りながら足をブラブラさせ、視線をキョロキョロさせていた。
「普通のリビングだよねぇ。いつもはここで相談に乗るの?」
「そうよ。ウチは宗教ではないからね。普通の家の方が、相談しやすいって言うのもあるし」
「あ~。そうかも。テレビで見るような場所じゃあねぇ」
サアヤは苦笑しながらハーブティーを飲む。
確かにテレビではまるでセットのような、霊能力者の部屋がよく映し出される。
ああいうのも大切なのだが、普通の人から見れば異色に見えるのも仕方がない。
「今日はどうしたの? 何か聞いてほしいって話しだけど」
つい先日、サアヤから電話で連絡があった。
彼女は夏休みに、泊りがけのバイトに行ったらしい。
そこでちょっと困ったことになったので、話を聞いてほしいとのことだった。
なので今の時間は、サアヤの為に空けておいたのだ。
「ああ、うん…。実は、ね」
サアヤはカバンから、一冊のマンガ本を取り出した。
それは夏に出たことが予想できる、ホラー特集のマンガだった。
サアヤはページを捲り、わたしに差し出した。
「ホラ、このページに幽霊が出るってウワサの場所の特集が載っているでしょう?」
彼女の言う通り、そこには幽霊が出るとウワサの建物や場所のことが載っていた。
けれど流石に詳しい情報は載ってなくて、場所や建物の名前もアルファベットになっている。
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