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騒ぎを聞き付け、旅館の女将がやって来た。 女将はスタッフから話しを聞いた後、イヤな笑みを浮かべてサアヤを見た。 「まあそちらのお嬢さんが鈍いだけかもしれませんがね。起こる時は起こってしまうことを、覚悟してくださいね?」 ああ…ブチッ★とキれちゃったんだ。 「だから言ってやったのよ!」 表情を引きつらせながら、サアヤは女将に言った。 「この旅館のウリは幽霊騒動だけだもんね。いなくなったら、さぞかし困るわよね~」 と意味ありげに笑ってやったそうだ。 「サアヤ、そういう核心めいた部分を言っちゃダメでしょう?」 咎めるように言うと、そっぽを向かれた。 「だってホントのことじゃん?」 確かに旅館は幽霊騒動をウリにして、今まで経営が保てていたんだろう。 そうじゃなきゃ、とっくに潰れていた。 だから女将は思わず自信満々に、ケンカを売ってしまったのだ。 ―その相手の正体を知らずに。 「腹がたったし、私は女の子と一緒に部屋に行ったの。確かにジメ~とイヤな感じがしてたのよねぇ」 確かに、その場所には良くないモノがいたのだろう。 「女の子があんまりにも怯えるから、二つの布団をくっつけて寝たのよ。…実はその後のことは、私自身は何にも覚えていないのだけど…」 失笑しながら語るところを見ると、サアヤは覚えていなくても、他の誰かが見ていたのだろう。 「誰に、何を、見られたの?」 はっきり聞いてみると、エヘッ☆と誤魔化すように笑われた。 「そのアイドルの女の子」 「まさかっ…!」 思い当たることがあり、わたしは目と口を大きく開いた。 「アレ、を見られたの?」 「アハハ~。…実は、そう」 「あああ…」 私は頭を両手で抱えた。 アレとは、彼女が背負っている【呪いと祝福】が実体化したモノ。 ある程度の力を持ったモノにしか見えないが、女の子は見える者だった。 「後から聞いた話しなんだけどね」 サアヤは気まずそうに笑いながら、続きを語りだす。 サアヤと女の子が眠った後、時刻は深夜二時を回った。 すでに旅館の中で起きている人はいなくて、静まり返っていた。 ―だが、異変は突如起こる。
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