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「ジェニー、こんにちは」
佑未子がジェニーに挨拶をすると、それをきっかけに子供たちが彼女にまとわりついた。
「ジェニー、遊ぼう」
集落には子供たちと遊んでくれる老人はいたが、老人ができる遊びは子供たちの好奇心を満足させてはくれない。子供たちはスリリングな遊びを教えてくれるジェニーが大好きだった。
「はいはい。それじゃ、ミドリ、ソラ。森に行きましょう」
ジェニーは子供たちの手を取って森の中に入って行く。
「いい娘じゃないか」
谷岡が村田に向かって言った。
「そうだな」
村田は自然エネルギー変換装置の底に頭を突っ込んだまま応えた。
「結婚したらどうだ?」
「馬鹿な……。年齢が違いすぎる」
苦笑が漏れた。
「俺たち夫婦の年齢差もそれくらいだ。なあ、佑未子」
「そうね。ジェニーの方が、私より少し若いかしら?」
「ずっと若いよ。肌を見てみろ」
「失礼ね」
佑未子が笑い、その様子を見てから谷岡も笑みをつくった。
「僕が思うに、ジェニーはまんざらではないと思うよ。なあ、佑未子」
「そうね。村田さんがアタックすれば、ジェニーは承諾すると思うわ」
「プロポーズしろよ」
谷岡は、機械の下から覗く村田の靴を軽く蹴った。
「付き合ってもいないぞ」
村田が機械の下から顔を出した。
「それなら、付き合えよ」
谷岡が笑った。
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