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小川の側で立ち話をしている3人の人間が見えた。森の中とは別の人間の匂いがする。
チョコは、しばらく人間たちの様子を見てからどうするか決めようと考えた。
チョコが見下ろす人間も建物も機械も暮らしも、研究所でチョコが見てきたものとは全く違っていた。建物は木材だけでできているように見えた。ドアも木製だ。窓には汚れたガラスがはめ込まれているが、とても小さくサイズがまちまちなところが建物を貧弱に見せている。建物を取り巻く塀の様なものもない。機械と言えるようなものも、わずかしか見当たらない。車は2台ならんでいるが、2台とも錆びついていて、研究所のそれのように黒く輝いてはいなかった。
兎に角、眼に見えるものは何もかもくすんでいて、輝きが無い。それでいて人間たちの会話が生きいきとしているのが不思議だった。
人間は7人いた。森の木の上にも3人いたから、全部で10人いるのだろう。
「御飯よ!」
1人の女が森に向かって二度叫んだ。
「はーい」
森の中から、返事が届いた。
チョコも返事をして飛び出していきたいと思った。
しばらくすると森の中から人間が出てきた。木の上で歌を歌っていた3人だった。
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