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10人の中の誰がリーダーか良くわからない。研究所の人間は富永がリーダーで全てにおいて命令を出していたが、ここの人間は誰かが命令を出しているようには見えなかった。
人間たちは一つの建物に向かって歩いて行く。そこで食事をするのだろう。
チョコは高台の松の木の根元に身を潜めたまま、人間たちが集まった建物をじっと見ていた。建物からは良い匂いと人間たちの声が流れてくる。チョコは次に何をするべきかではなく、建物の中で繰り広げられている楽しい食事風景を想像していた。
『僕たちの食事も楽しかった』
研究所では、4匹で朝比奈をからかいながら食事をとった。その時のことを思いだしていた。
『あんな日は、もう無いのだろう。僕たちは散り散りになった。みんな人間が悪いんだ』
カカオとココアが研究所を出た理由はともかく、チョコが研究所を離れたのは自分の意志だった。しかし、チョコは、自分が研究所から放り出されたような理不尽なものを感じていた。そうすると怒りで力が湧いた。
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