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一瞬、チョコは人間に見つかったと思った。
しかし、そうではなかった。建物から出てきたのは2人の子供だけで、鬼ごっこを始めた。
『なぁんだ……』
ホッとすると、あの子供たちが羨ましく感じた。彼らは満腹になって遊んでいるのだから。
あの子らと遊んだら楽しそうだと思った。見ているだけで胸が躍る。
グゥーと、再び腹が鳴った。
『食べ物を手に入れよう』
空腹がひどすぎて、食べ物がゴミ箱に捨てられるのを待つことができなくなっていた。チョコは大人の動きに注意を移した。
扉が開いて大人たちが出て来ると食べ物の匂いも強くなった。
『誰かが食べ物を持っている』
チョコは確信して、ゆるりゆるりと坂を下りはじめた。近づかなければ誰が食べ物を持っているのか分からないからだ。
少し近づいただけで、誰が食べ物を持っているのかが分かった。チョコは人間を驚かさないようにゆっくりと食べ物の持ち主に近づいた。
「あら」
チョコを最初に見つけたのは、佑未子だった。その手には僅かだが残飯が残っている。
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