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現場は、ゼロ番街の自治管理組織のガードマンたちによって保全されていた。そのガードマンたちも、ゼロ番街での雇用確保のために取り入れられる制度の一環で雇われている。ある意味では、ゼロ番街は小さな地方自治体のようなシステムで動いているのだ。10名ほどのガードマンが黄色のテープを張って、野次馬が砂浜へ侵入するのを防いでいた。
「ご苦労さん」
2人の刑事はガードマンに挨拶すると砂浜に下りた。そこには2名の刑事が先着していた。
「ご苦労様です」
4人の刑事は挨拶を交わすと死体を調べる。
「死因は水死ですね」
流されてあちらこちらにぶつかっているのだろう。傷だらけの遺体は膨らみ、肌も腐りかけの果物のように見える。
「事故か、事件か?」
刑事たちは自問するが、答えは見つからない。分からないから言葉を口にする。
「身元は?」
「免許証とIDがありました。桑原徳治、57歳、大阪選出の国会議員です」
「国会議員だと……」
猪瀬は傷だらけの顔を覗き込んだ。テレビ番組などで見たことのある顔ではなかった。
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