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川崎ゼロ番街は四日市ゼロ番街に続いて2番目に海上に作られたゼロ番街だ。従前のマトリョーシカ・システムが地下水脈を利用していたのに対し、四日市ゼロ番街から海水を利用する方法に変更されたのだ。テロや戦争による外部からの攻撃を想定して地下に作られていたマトリョーシカ・システムが海上の人工島に造られたことは、核を管理するマトリョーシカ・システムが変質したことを意味していた。
2068年。生まれたばかりの川崎ゼロ番街には、すでに二千人ほどの人間が入居した。近代的な設備と都心に近い立地は住民に評判で、すぐに満室になるだろうと言われている。それは日本社会の高齢化と貧富の格差拡大の象徴でもあった。
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