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野宿
「……一睡もできなかった」
朝、それも早朝だった。
太陽が顔を出してすぐのころ、私は目を開けた。
惰眠を貪ることが生きがいの私が(ちょっと言いすぎか)一睡も出来ない日が来るなんて、思ってもみなかった。
「……はあ」
密かにため息をつくと、風間さんのウロガンドが、グェ、グェ――と啼いた。
「――ん」
小さな声が漏れて、風間さんが目を覚ます。水色の瞳を数回瞬かせて、ごしっと目を擦った。
(かっこいい。寝起きもかっこいい)
おしいことしたな。どうせ眠れないなら、風間さんの寝顔拝見、もしくは堪能しとけば良かった。
(変態か!)
自分にツッコミを入れて、起き上がった風間さんに、にこりと微笑みかける。
「おはようございます」
「おはようございます。よく寝られましたか?」
「……はい」
寝ぼけ眼の風間さんに、私は無理やり笑いかけた。
寝れるわけない。とは、言えない。
ほっぺたをごしっと触る。肌の調子は、寝てないわりには悪くない。とりあえず、ほっとした。
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