一話・シャマールの王宮

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 * * *  私達は三日かけて、町を移動し、千葉の蛙蘇(あそ)という港町と交流している港町、センテールに着いた。  ちなみに、交流しているのは、蛙蘇とセンテールだけらしい。  私達は、商船に乗せられることになった。  軍艦だと、送って行った時に面倒なんだそうだ。もちろん、兵士も一緒に乗船する。 「でもさ、本当になんのお咎めもなしに帰って良いのかな?」  私の横で待機している柳くんに尋ねると、柳くんは大きな目を私に向けた。 「そうですね。帰っていいって言うんだから良いんじゃないですか?」 「う……ん。そうなんだけどさ」  言いよどんでいたら、 「……怠輪王は、この件に関わりたくないんですよ」  えらく真面目な表情で答えられてしまった。  たしかにそう言ってたけど、故意ではないとはいえ自国に侵入されたんだから、もっと根掘り葉掘り聞かれても良いようなもんだけど。  あっ。でも、私が寝てる間に、柳くんは色々訊かれたんだっけ。 殆ど答えなかったらしいけど。 「乗れ」  乗船準備が整ったのか、私達は乗船を促された。  前後左右を見回しても、厳つい体つきと恐持ての兵士だらけ。  ここから一日しないで蛙蘇に着くらしいこの船旅は、楽しいものになるとは、お世辞にも言えなさそうだ。
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