第四話・ユルーフ町

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第四話・ユルーフ町

 山稜に囲まれた谷懐に、その町はあった。  円形状の石塀に囲まれている町は、どうやら城塞都市であるようだ。 「着いたわね」  みつあみが風に僅かに揺れ、セシルは城塞都市、ユルーフを見下ろした。 「ここで、セシルさんともお別れなんですね」  彼女の後ろに乗っていたゆりは、残念がって呟いた。  セシルは振り返って、切なげな瞳でゆりを見つめた。 「そうね。ゆり、寂しいわ」 「私も、寂しいです」 「ワタシはセイセイするぞ」  横に並んだ喰鳥竜の上から、威張るように言った結をセシルはくすっと笑っていなした。 「そう。私は寂しいわよ? 結」 「……ふん!」  不機嫌にそっぽ向いた結だったが、どことなく照れているように感じられ、ゆりはセシルと密かに微笑み合う。 「俺も寂しいなぁ。せっかく友達になったのにさぁ……」  結の後ろで嘆いた雪村に、セシルはにこりと笑いかける。 「私もよ」 「今度遊びに来てくれよ」 「是非行きたいわ。後で住所教えてよ」 「ああ。良いぜ」  軽く弾んで言った雪村を背に、ふくれっ面を送った結をゆりだけが目撃し、苦笑した。 (どんだけ、雪村(あるじ)くんの事が好きなんだか)  そして、ゆりは視線を背後へと移した。  少しだけ離れた位置に、ヤーセルとゼアはいた。  彼らは、丘を登り終えようとしているところだった。  彼らは走って喰鳥竜を追いかけてきていた。    逃げないように、セシルが能力で命令しているため、真っ直ぐにセシルの喰鳥竜を追いかけて来ている。  彼らとは、休憩も一緒に取っていた。  一緒にいる時間があればあるだけ、情も湧きやすくなるというもので、憔悴している程ではないものの、疲れきっている様子の彼らを、ゆりはどことなく可哀想な気持ちで見ていた。
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