さよならアルペジオ

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未空は首を強く振った。 「それは無い…」 俺はチラチラと横に座る未空を見ながら、 「そう…なのか…」 と訊いた。 未空はゆっくりと頷いた。 「多分、末期だったんだよね…」 俺は未空が重い病気だって事は知らなかった。 「そうだったのか…」 「うん」 未空は短く答えると、また窓の外を見た。 そんなに重い病気ならば、付き合っていた時にも症状は出ていたんじゃないかと考えた。 そして気付かなかった事に俺は後悔した。 「止められなくなっちゃってさ…。なんて言うの、過剰摂取。今は簡単に買えちゃうからさ…つい…」 俺は眉を寄せて未空を見た。 「過剰摂取…」 「うん。クスリね…。ハマっちゃってさ…。それで死んじゃったんだと思うんだよね…」 俺は呆れて深く息を吐いた。 「お前は馬鹿か…」 「テヘ」 未空は自分の頭を拳で叩く。 「もう一回死ね…」 俺はアクセルを踏み込んだ。
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