2. 朝

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夜中に与えた餌の入った小皿はすでに空になっているので下げる。数時間前にあれだけ食べたのに、猫は久しぶりに食事にありついたかのように勢いづいて食らいつく。その間に私は自分のために紅茶を入れる。 すぐに小皿の中身は食べつくされて、猫は再び大声で鳴きだす。鳴くというよりすでに「喚く」あるいは「叫ぶ」という方が近いかもしれない。私は猫缶の残りを皿に盛る。しかし、猫は今度は食べようとしない。再び鳴く。私は鰹節を取り出し、小皿に振りかける。 あるいは液状スティックフードを与えたり、パウチの鶏ささみやなまり節を与えてみたり、手を変え品を変え、猫に食べさせる。 猫は食べたくて鳴いているのだろうか? おそらくそうではないだろう。たぶん猫自身もなぜ鳴いているのかがわかっていない。与えられると餌は食べるが空腹なのかどうかも認識していないかもしれない。 鳴くからと餌をやる私のやり方も正しくはないのだろう。ただ食べても食べても肉にならず年々痩せてくる老猫を見るにつけ、食べることで収まるのであれば、と思い餌をあたえている。 小皿で2-3回お変わりをして、やっと猫は静かになった。これからは私の時間である。
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