第1章 東京大空襲

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 防空壕へ母に抱かれて逃げ込んだ時の爆音が耳に残る二歳のチーパパは耳が聞こえにく かった。  戦時国際法に違反した米軍のナパーム型の焼夷弾は、東京を火の海にした。焼け跡に逃 げ込んだチーパパの祖父母は明治座に逃げ込んで全滅した人々を祈った。祖父母は焼け跡 へ焼け跡へと逃れて命は助かった。あの戦火の中での明暗は二分したが、日本の敗戦が決 定した瞬間だった。広島も長崎も敗戦を決定づけたが、東京大空襲は首都圏の要を火の海 にする身近な日本人の心に焼き付いた瞬間だった。  人間も多数亡くなったが、多くの犬猫やねずみも犠牲者だった。  日本の敗戦は一度目の大きな生き物のお墓を創造したが、チーパパは70周年の横綱町 にあるお寺で何十万人の人々が眠るお寺に祈りを捧げた。  チーパパの祖母の実家も墨田川沿いにあっが、一家全滅した。  東京大空襲で小さい叔父さん、大きい伯父さんを失った祖母は浅草の実家のお墓へ良く お参りしていたが、チーパパも小学校1年生の時に祖父母と兄とチーパパの4人で春の 彼岸に行った。祖父のお墓は谷中にあり、谷中から浅草まで歩きで行ったが、上野の陸橋は 石でできたらていた分厚い陸橋であり、真下をみることもできない身長のチーパパは、懸 命によじ登ろうとしたが、上背が足らなかった。  兄は4年生だったのでラクラク覗けたので、悔しくて仕方がなかった。 「チキショウメ!兄貴には見えて、オレには見えない」  小さい時に、悔しがり屋だったチーパパは、自信をなくしていた。  
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