追想

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これは、ある少女の追想。少女の片思いの話である。 その少女は、大学生になるまで、恋というものをした事がなかった。だから、最初はそれが恋だと気付かなかった。 夏休みのある日、サークルの帰り、少女は一人の先輩と一緒に帰る日があった。その時に先輩に言われた、「○○○ちゃんなら出来るよ。」というふうに言ってくれた。少女は頑張っても強くなれないことに悩み、サークルを辞めてしまおうかと考えてもいたから、とてもその言葉が嬉しかった。それまで少女は、その先輩が、明るくて、誰とでも話していて、自分とは縁の遠い人だと思い、苦手だったのである。それがその日、先輩のことを凄く優しく感じ、少女はその日から先輩の事が気になりだしたのである。 だけど、少女は知っていた。その先輩には、彼女がいると、友達に数ヶ月前に聞いていたのである。彼女がいたらどうしょうと思った少女は、この感情は恋ではないと思うことにした。 そんな風にして、時は数ヶ月すぎ、12月になったのである。先輩と少女は同じサークルで、会う機会はそれだけだった。少女は授業と課題の関係で、少しの間サークルに行けなくなっていたのである。少女はサークルに行けない間、先輩のことを考えている自分に気がついた。そして、久しぶりに会った時、私はこの人のことが好きなんだと少女は思ったのである。会えた瞬間、とても嬉しかったから。 春休みになると、サークルは来る人が減り、先輩と二人だけの時もあった。そういう時、少女は先輩と二人だけで話せて嬉しかった。そうやって話していると、知らないことばかりだったんだと気づき、話しているのが楽しくて、少女はさらに好きになっていった。でも、そんな時、少女は悲しいことを聞いた。他の先輩から、その先輩がある人に告白したことを知ったのである。そして振られたとも聞いたが、そのある人はとても可愛い人だったこと、先輩が友達に自慢できるような人であることが大事だと聞いたことを思い出し、少女は自信をなくしたのである。これだけ、普通に話していても、この人は私のことを好きにならない、と。 少女はその後も思い続けるだけで、告白はせず、普通に先輩と接していた。そんな風に過ごし続けた結果、先輩は5月からサークルの後輩と付き合うことになった。どっちから告白したのかは、少女は知らないが、少女は一ヵ月くらい失恋を引きずりながら、諦めるしかなかった。
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