あなたを好きでいたいよ

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週末の日生家のリビング。 二階の自室から起きてきた双子の姉妹は、 朝食にリビングへ向かっていた。 前を歩いていた若菜がドアを開け、勢いよくドアを閉めた。 「どうしたの? 若ちゃん」 妹の行動を不審に思った萌が聞く。 「……いや今、何かいた気がした」 「え?」 そこへ姉妹の弟がやってきた。 「おはよー」 「あ、悟くん。おはよう。早いね」 「姉ちゃん達、何してんの?」 無邪気な末っ子は、若菜の閉めたドアを開ける。 「あ! バカ・・・」 「うわっ! なんだ、この匂い。酒くせー!!!」 「…だから閉めたんだ」 「あ! 誰がソファで寝てるかと思えば兄貴じゃん!! ぐてぇーってしてどんだけ飲んだんだよ?」 「仕事の接待だよ…。相手が強いから、ついね…」 「ついじゃねー」 兄と弟のやり取りを尻目に萌が呟く。 「そう言えば今夜、若ちゃんと悟くんの三人だけになるから、 兄さんが帰ってくるかもってママが…」 姉が言い終える前に二人同時に言葉が飛ぶ。 「「こんな酒クサイのは、いらん!!!」」 「えー。ひどーい…」 まあまあと言いながら萌は、コップに水を注ぎ黙って兄に渡す。 「全然気づかなかったけどいつ帰ってきたの? 兄さん」 「…始発で帰ってきたから6時頃かな」 「「酒抜いてからくればいいのに…」」 「……言う事揃うね、君達」 若菜と悟が顔を見合わせ、また喧嘩が始まる。 「真似すんなよ」 「は? いつ俺が真似したんだよ! 若姉だろ?」 「なにぃ?」 「もうやめなさい! ご飯にしようよ」 萌が二人の間に入って止めると悟の顔がぱぁっと輝く。 「朝メシ? なあなあ、萌ちゃん。朝メシなに?」 「何があったかなぁ…」 「俺、萌ちゃんの作るパンケーキが食べたい!」 「えー。材料あるかわかんないよ?」 「あったらでいいって」 「兄さんと若ちゃんは?」 「「食べる」」 今度は、若菜と揃った。 萌が笑いながらハイハイとキッチンへ行く。 これが僕の家の日常…。 妹達が出会った頃の紫織の歳に近づいていく。 初めて会った紫織は、もう大人の女性だったけど、 ベランダで手を取るたびいつも思っていた。
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