二合目の防空壕

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二合目の防空壕

  1  町も時に大きく装いを変える。  北海道南部に位置する港町函館もどうやらそのひとつのようだ。  沖合いに浮かぶ小島と北海道本土との間を、潮の流れが長い年月をかけて海砂で繋いだ。そんな自然の気まぐれによって、扇を広げたようにも見える独特な形をした土地が造られる。函館市はその土地の上に広がっている。湘南の観光地として知られる江ノ島を大きくしたような地形。そんな説明が案外的を射ているのかもしれない。正式には陸繋島(りくけいとう)という。この小都市が幾度か姿を変えた理由は、歴史がその特殊な地形を利用したということなのだろうか。     
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