となりに座るまでの話

9/9
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
足音が聞こえた。これは、お父さんのだ。 私は、何となく、慌ててそこから出て、テレビの横に座った。 ドアが開くと、いつもと変わらない、無愛想な表情をしたお父さんが入ってくる。 「お、こんなとこに居たのか」 私は何か、笑ってしまった。もう少し、お父さんと話してみようかな。今日は特別に、そんな気分だ。 「まぁ、混んでるわね」 いつものファミリーレストラン、四人席に座るには、まだ少し並んで待たないといけないらしい。その間、ぐずる弟の頭を撫でてやったりしていると「あら、香菜。珍しいじゃない」とお母さんが言った。 「もう、お姉ちゃんだから」 そう言って得意気に笑うと、そのうちに案内された席に行き、私はお父さんの隣に座った。 少しだけ温かく感じるのは、気のせいじゃないだろう。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!