サクラ

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「前の方に続いて順番に・・・」 はぁはぁ はぁはぁ 間に合った・・・ いつもと同じ7時47分の電車・・・ いつもと同じ風景・・・ 上京して・・・この春で1年 最初は怖くて乗れなかったこの電車も、 今では、慣れてきて、 それが、当たり前の日常になった グググ 列の1番後ろ、 駅員に押されこまれ その電車に乗り込む・・・ 今日は、寝癖がひどくて、 どれだけ、アイロンを当てても直らなかった・・・ おかげで、遅刻しかけて 今に至る・・・ まだ、気持ちが慌ただしく、 私は、心を落ち着かせるために いつもの通り、音楽を聴こうと カバンからイヤホンを探した 満員電車だから、限られた空間で手で弄る ・・・ ・・・ ゴソゴソとするも、見つからず 「はぁ」と思わず、ため息 今日はついてない 私は顔を上げ 押し合った人の肩越しから、 窓の外を見た 河川沿い、菜の花が列をなし それに沿うように、ピンク色の列が追いかける 「サクラ」だ 今にも、違う色に染まりそうなくらい それは儚げな色だった・・・ 私は、カバンを探っていた手を出した そして、その手を見て また、ため息をつく そう、昨日、会社帰りに、 いつものネイルサロンで、施したネイル 春を意識して 「サクラみたいな色で」 と、伝えたのに 実際仕上がった色は、 サクラの花びらというより、少し濃いめのピンク 思っていたイメージと違っていて 少しだけ、ガッカリした でも、 「変えてください」と言う勇気もなく そのまま家に帰宅したのだ
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