サクラ

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「次は・・・」 社内のアナウンスが流れる。 その電車は、次の駅のホームへと滑り込む 私は隙間から、そのホームの風景を見た・・・ ・・・いた この駅でも、これでもかと 人が乗り込む・・・ でも、こんな満員電車の中でも 私には、楽しみがあって 開く扉を見ていた ・・・ ・・・ この駅で必ず、1番前で乗ってくるスーツ姿の彼。 顔立ちもよくて、爽やかそうで、 でも、いつも頭の右後ろがはねてて・・・ そこもひっくるめて・・ 私は、この1年毎朝、彼を遠くから見てきた。 もちろん、この満員電車、 少し離れた場所にいる彼と 話すきっかけなんてなかった ましてや、私には、まずそんな勇気すらない 上京してきて、 仕事もまだ1年目で、 自分で何やってるのかわからなくて 何度も家で一人で泣いて この都会のスピードに乗り遅れないように、 雑誌やインターネットで、ヘアスタイルもネイルも 服だってそう・・・ たくさん、調べて・・・ これでもかと背伸びして そんな恋なんて・・・ そこまで、気持ちがついていかなかった
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