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それを聞いて、君嶋は凄く嬉しそうにしていた
「嬉しいです、まさか私達に商いの仲間にくださるなんて
私達、お菓子が好きで、全国の知られざるお菓子を知って欲しくて会社立ち上げたんですけど
なかなか商いをする御店(おたな)をどこも貸してくれなくて、仕方なく行商スタイルで商いをしていたんです
でも今時行商は怪しまれるばかりで
誰も立ち止まってくれなくて、だから声をかけたりもさせて貰ったんですが
皆さんやっぱり怪しんでるみたいで逃げる様に居なくなってしまって
そんな優しいお心遣いをいただけるなんて
本当に嬉しいです!
初めてこの町に商いに来ましたけど、おば様や彼らの様な素敵な人達に出会えて
私この町が好きになりました
だからこれからもこの町で商いがしたいです
これ、私の名刺です、電話いただいても良いですか?」
そう言って君嶋は名刺を櫻子に渡した
そこには
【有限会社カロニン
営業部長・君嶋穂奈美(きみしま・ほなみ)】
と書いてあり
事務所の番号と携帯番号が書いてあった
「へえー、あんた営業部長さんなのかい」
「はい、小さい会社なので」
「小さかろうと肩書が有るのは立派な事だ
だけどあいにく、あたしは携帯電話という物は持った事が無くてね
電話するのは家に帰ってからで良いかい?」
「でしたら、私の携帯で今から社長におかけしますんで、良かったら社長に今の話をしていただけませんか?」
「おー、そうかい、ではそうさせて貰おうかね
と、その前に豆大福を買い上げさせて貰っても良いかい?」
「あっ、はい!
2パックで1300円ですが、おば様の心意気が嬉しいので、1000円で結構です」
「おー、それはありがたい
あんた商売人の才が有るよ、きっとこれからも繁盛するよきっと」
櫻子はそう言って千円札を出し
「ありがとうございます!!」
と言って、穂奈美は豆大福2パックを差し出した
櫻子がそうして豆大福を購入し終えたと同時に
大好が弥七郎が二人のそばまでやって来た
険しかった弥七郎の顔もすっかり元の穏やかな顔に戻っていた
そこで櫻子は大好や弥七郎にもその話をした
もちろん二人共大賛成を受けた
特に大好は大喜びで思わず飛び上がっていたが、すぐに気付いておとなしくした
櫻子は大好の秘密を知っているので「おやおや」と穏やかに笑い
穂奈美はそんなに喜んでくれるなんてと更に感激していた
とりあえず、秘密を知る者が増える事が無く
大好は胸をなでおろした
そして早速、穂奈美は社長の電話をかけて
櫻子の提案を話し、櫻子にも話をして貰った
カロニンの社長は大変喜び
「是非お願いします!」と言ってきた
櫻子は
「迎え入れの準備済んだら、また連絡します」と言い
自身の家の電話、正式には道明寺や店内に引いている電話の番号を教えて電話を切った
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