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「本当にお心遣いいただき、ありがとうございます
しかし、おば様、いえ道明寺さんって
和菓子屋さんだったんですね」
「今は店を休んでいるけどね、なかなか見込みのあるで…」『あっ!…』
櫻子は大好と弥七郎の方をちらりと見た後
咳払いをし
「見込みじゃダメだけど、磨けばそれなりに光るバカ弟子を鍛えているからね」
と言った
「ばあちゃん、咳払いなんかして、大丈夫かな?」
大好が言うと
「まあ僕らだってたまにはむせるんだから、そんな事もあるよ」
と、弥七郎は言った
大好は気づいていなかったが、頭も勘も良い
弥七郎は櫻子が本当はさっきなんて言いたかったのか気付いていた
でも聞かなかった事にした
『僕が聞いていると、何かの拍子で万桜さんにバレると恐れたんだね
修行に自惚れは禁物だから』
「なるべく早く、手筈を整えて連絡するからね
あたしが店を休んでるから、和菓子好きな子達が飢えてるだろうし」
「俺達も出来る事はなんでも協力するぜ!」
「皆さんが一本木商店街の一員になるの楽しみにしていますね」
「はいっ!ありがとうございます!
ではそろそろ営業終了の時間なんで、失礼させていただきます!
今日は本当にありがとうございました!」
穂奈美はそう言って3人に礼をすると
一本木駅の改札を通り、駅中へと入っていった
「それじゃあひろくん、これ、豆大福」
「ありがとうよ、ばあちゃん!」
「じゃあ、あたしもそろそろ帰るね
弟子をしっかり鍛えてやらないと」
櫻子はそう言ってニッコリ笑うと
地下道の方へ歩いて行った
そして今度はエスカレーターに乗った
階段で行くと、さっきの様に心配するだろうと考えたからだ
「ヤシチ、俺達も学校戻るか」
「うん、そうだね」
大好と弥七郎も歩きだした
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