番長・バナナ

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「いやー、それが実わでゴスなー」 「うちの番長、大コウブツのバナナを食べれば食べる程、戦意と力が向上してしまうんでワス」 「えっ………そんな能力が有ったの?」 「言ってなくてすまんでゴス南雲参謀さん」 「まさかこうなるとは思わず……」 島広と出勇が謝る横で 弥七郎は、『これは勝負の種目間違えたかも?……』と感じた しかしそんな気持ちは他所に 大好と山敏は、八百時計の前で向かい合うと どっかりとあぐらをかいて座った どちらもやる気充分の様だ 「おっちゃん、おばちゃん、とりあえず金は後でちゃんと払うから、俺と坊之岬番長に 一本ずつ、いや、一房ずつくれ」 大好が言うと 「大好が言うなら信用できるな」 と、徳助は言い 「どちらも食べそうだから、これならバナナが無駄にならなそうだ」 と、十子が言って、バナナを選び始めた 「大食い勝負だから、公平にしないとね」 「おう!勝負は正々堂々に限るぜ!」 徳助もバナナの選別に入った その最中、山敏は舌舐めずりをしていた 「どれも良いバナナでゴワスな!見るだけでヨダレが出るでゴワス!」 「ほう、坊之岬番長、あんたバナナが見る目が有るみたいだな」 「おいどんは、バナナ程この世に好きな食べ物は無いでゴワス!!天猪番長、軽く打ち負かしてやるでゴワ、喧嘩を楽しみにしているでゴワス!」 「良いぜ!いいぜ!その威勢嫌いじゃねえや! 鹿児島最強の番長の胃袋、特と見せてもらうぜ!」 そうこうしている内に、八百時計夫婦が選んだ 大きさも本数も同じくらいのバナナが2人の元に置かれた 弥七郎は山敏の能力を聞いて少し焦ったが もう土俵は整ってしまったので 勝負を見守る事にして2人の番長の間に入った 「それではこれより、喧嘩決戦権をかけた 東京都一本木高校番長、天猪大好番長と 鹿児島県栄嶺高校番長、坊之岬山敏番長の バナナ大食い対決を行います 尚、ジャッチは、僭越ながら一本木高校在学 この南雲弥七郎が行います 公正なジャッチに勤めます それでは、お二方、準備はよろしいですか?」 「おうよ!」 「いつでも来いでゴワス!」 「それでは、用意………… 始め!」 パン 弥七郎がそうして手を打った瞬間 大好と山敏はバナナに手をかけた
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