番長・バナナ

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バナナを剥き、口に頬張る大好 『うんっ、こいつは良いバナナだ! 程よい歯応えで、噛むとバナナ特有のネットリ感とフレッシュな甘さが広がるぜ 農園も手間暇を惜しんでねえなこれは』 大好がバナナな味に感動している横で 山敏は2本目に食べ終えようとしていた 『いけねえイケねえ!一応これ勝負なんだ!味わっていたら差が出来ちまう!』 大好は今のバナナを食べ切り 2本目に移った 弥七郎もそれを見て 『やっぱりヒロちゃんの事だから、最初は味わっちゃうと思った、でもこの感じならまだまだ差はつかないだろうな』 と、感じていた そうして1本、2本、3本と食べ進めていく大好と山敏 あっという間に一房食べ終えてしまい 2人がガッつている十子も次の房を用意して近くに置いていた為 すぐに2人は、次のバナナに入った 因みにバナナ皮は、島広と出勇が片付けていった あれから10分 大好と山敏は、お互いに5房のバナナ平らげていた すると 「ウッ、ゲホッ!ゲホッ!」 大好が咳き込んで胸を叩いた、バナナが喉につっかえた様だ 「ヒロちゃん!? 」 えこひいき無しの勝負とは言え 大親友の異常事態に弥七郎は思わず声かけた すると 山敏が手を止めた 「一時休戦でゴワス!」 そうして手を止めると、大好に駆け寄り 背中をポンポンを叩いた その衝撃もあり、バナナは大好の喉から外れ、食道に行った様だ 「フー、かたじけねえな、坊之岬番長」 「勝負は公平にするもんでゴワス!何よりおいどんの愛する食べ物が人をころすなんて有ってはならん事でゴワスからな!」 「バナナを本当に愛してるだなお前」 「お前(まん)こそ、美味そうに食うでゴワスな、バナナも喜んでる気がするでゴワス!」 そんな2人のやり取りを見て、弥七郎も島広も出勇も 八百時計夫婦もいつの間にか集まっていた見物人達も 漢同士はやっぱり何かが有る物だと感じていた 「では、続きをするでゴワス!」 「おうよ!」 「はい、それで勝負再開です」 弥七郎が声を掛けると、大好と山敏はまたバナナを食べ始めた すると、見物人の中から 「しかしどちらも本当に美味そうに食うな 俺もなんだかバナナ食いたくなって来たな」 「俺もなんだか食欲が湧いてきたぜ」 「私もなんだか…」 「これが飯テロってやつか?」 という声がちらほら聞こえた そして仕舞には 「おーい徳(のり)さん!バナナ売ってくれ!」 「うちにも!うちにも!」 と、声が上がり始めた
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