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「朝比奈椿はね、かくまわれてるんですよ、あの院長に。院長と女将さんは昔なじみらしいから」 「そうだったのか」 「もっとも、それがあいつのためになってるとは思わないけど」  鷹栖はいつものように眠そうな目で病室を見上げた。椿がいると思われる病室の窓を。 「お前、ほんとに愛してたんだな。椿って娘のこと」 「どうでしょう。ほっとけなかったのは事実です。その気持ちが愛というなら、愛してたんだと思います」  病院に背を向け歩き出しても、隠しきれない余韻を残す鷹栖の言葉に、『そう、今でも』と、新垣の耳には音のない鷹栖の声が聞こえてきたような気がした。
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