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 淳也は歪んだ妄想ににやにやしながら自室に戻るべく階段を上り始める。踊り場のところまでくると男が頭を抱えて蹲ってるところに出くわした。印半纏を着ているところを見ると従業員らしい。 「じゃまだよ、おっさん。どけよ」  淳也は男の体を踏みつける。普段ならここまでの暴挙にでることはないがもろもろのことで興奮状態になっていた淳也は酷く攻撃的になっていた。淳也が男の背中を踏みにじっていると男は顔を上げ何かを訴えかけてくる。 「ぐぅああ……にげ……」 「あん……ん? つの?」  それが村野淳也の最後の言葉になった。  何かが爆発した。同時に突き上げられるような衝撃で目の前が揺らぐ。冬馬は自身の心象が現実と重なって幻聴や幻覚を引き起こしたのではないかと焦った。しかし、隆盛の言葉によってそうではないと知る。 「衝撃波だ。爆発が近い」 「爆発? なんで、そんな」  冬馬の問いかけに隆盛は険しい顔をするばかりで答えようとしない。その態度に冬馬は隆盛が自分に怒って無視しているのかと思ったが、すぐにそうではないと思い直す。  自分たちの喧嘩の原因。冬馬の言いがかりで何故か隆盛の恋愛観に発展していたが、元々の発端は別のところにあった。 「氷角童子、か?」     
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