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 ノンレム睡眠からレム睡眠に切り替わる。俗に夢を見るのはレム睡眠のときだけだと言われているがそれは間違いである。そのような誤認が生まれたのは、脳が深い休息の状態にあるノンレム睡眠中に見た夢は覚醒後に思い出せないことが多いからだ。  深い眠りから浅い眠りに切り替わったとき、冬馬は先ほどまで見ていた夢の内容をほとんど忘れていた。ただ、絶望の中にあっても希望が確かに存在していたような感触だけは残っていた。その希望の顔が大智の姿をしていたような気がして、じんわりと心地よい感覚が広がっていく。温かいお湯の中に自分が溶けていく。自分が広がっていく。永遠に味わっていたい、甘い眠り。 「そんなことが本当に可能だと思っているのか?」  なんなんだいったい。     
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