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数日後。
会議室に町民およそ30名が集められた。
「本日はお忙しい中をお集まりいただき、ありがとうございます」
町長の前口上は笑顔でなされるものだから真剣さが伝わってこない。
一方で集まった者たちはぴりぴりしていた。
「この度、多くの方から猫による被害を受けたとの訴えがありまして、その対策を練るためにお集まりいただきました」
ここまでに既に十数件の苦情が寄せられていた。
目撃者も多数おり、野良猫が原因であると確証を得たため召集したのだ。
職員が周辺の地図を配布した。
「お渡しした地図には、寄せられた情報を元に野良猫被害のあった場所を赤で示してあります」
民家や田圃を中心にところどころが赤く塗りつぶされている。
「けっこう広範囲じゃないですか。これ、同じ猫じゃないですよね?」
町民のひとりが苛立たしげに言った。
彼の家の網戸は猫の爪研ぎに利用され、3回も取り換えるハメになった。
「確かなことは言えませんが、少なくとも十数匹の個体を確認しています。そこで――」
目撃情報を元に職員たちで捕獲作戦を実施するという。
捕獲器の類は既に用意されていた。
被害がなくなるまで徹底的に行う、と町長は豪語した。
ただしできるだけ猫を傷つけないように細心の注意を払ったうえでの作戦だ。
これには町民も安堵した。
被害には悩まされているが残忍な方法はよろしくない。
人にも動物にも優しい町を実現できれば、町長としての株はさらに上がる。
そういう打算もなくはなかった。
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