04.怨煉

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「ヒデキ、ミサのこと、本当に好きだったから、連れて行く気なんだよ」 「なぁ、7人ミサキだとしたら、俺達も全員連れて行かれるんじゃないのか?」 「とりあえず、ミサちゃんが一番危ない。皆でミサちゃんを護ろう」 私は、円座の中央に座っていた。 皆は手を繋いで、私を囲んでいる。 まるで魔法陣や封印の儀式のように。 ドンドン! 部屋の壁がノックされる。 「俺だ。ヒデキだ。開けてくれ!ミサ、居るんだろう?」 「なぁ、ミサぁ!!早く!開けろって!」 私は円座の中央で泣くしかなかった。 ヒデキは私の名前しか呼んでこない。 私を、連れて行きたいんだ……。 ノックの音と叫ぶ声は、どんどん大きくなっていく。 「我慢して、ミサ。ヒデキはもう……」 「うん、分かってる。分かってるけど……」 「ダメだ、ミサ。ヒデキに語り掛けたら、入って来る」 もう限界だった。 「ごめん、ヒデキ!私はまだ生きたいの!あなたと一緒に行けないの!」 自分でも驚くほど、大きな声だった。 「ミサーーー!」 ドアが蹴破られる音が響き、鬼の様な形相のヒデキが入って来た。 ごめん、皆。私のせいで、ヒデキを部屋に入れちゃった。 「早く、こっちに来るんだ!」 「ダメ。あなたはもう死んでるの。お願いだから成仏して」 「バカ、死んでるのはヒロミ達の方なんだよ!」 何を言ってるのか、意味が分からなかった。 隣の……周りを囲むヒロミ君やサキと目が合った。 白目がちな虚ろな目。 彼らは繋いだ手を離し、私を捕まえようと、手を伸ばす。 (かす)めた手からは温もりを感じなかった。 「ミサ……」 ひいっ。 まごつく私の手を、ヒデキの熱い手がしっかりと掴んでくれた。 後ろ髪を引かれながら部屋を出ると、私達は眩しい光に包まれた。
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