03.淵漣

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03.淵漣

2月2日。 同期7人のうち、6人は高知龍馬空港に降り立った。 つまり、ヒデキ以外ってこと。 LCCを使って、1時間半のフライト。 空港内のレンタカーサービスを予約してある。 8人乗りのVOXYに荷物を積み込む。 今回は6人だけだから、シートにも荷物を置ける。 広々快適、なんて強がってみる。 本当は、隣に君が居ないから、寂しさが(さざなみ)を立てている……。 「なんで、1泊だけなのに、女子はそんなに荷物が多いんだよ?」 幹事兼ドライバーのヒロミが言う。 現役時代は、映画サークルの会長で、相変わらず仕切りたがる。 「そんなこと言ってるから、女心分かんなーいって、振られるんだよ」 からかうのは、サキ。 「うぜえ。罰としてサキ、助手席な。地獄のドライブの始まりだぜ」 何だかんだいって、2人はいい感じで、実は私達は2人をくっつけようとしている。 ドライバーはヒロミ君。助手席はサキ。 2列目は、男子メンバーのゴロウ君とトクさん。 3列目に、女子メンバーのミキと私が座った。 因みに、トクさんはヒデキと同じ会社に入社している。 あいつがダナンだかベナンだかで、浮気をしてないか、確認してやる。 レンタカーに乗り込み、スマホの電源を入れると、ヒデキからの通知を読み込んだ。
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