03.淵漣

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「え!嘘でしょ?」 「どうしたの?」 ミキがくりくりとした大きな瞳で顔を覗き込んでくる。 私はスマホの画面をミキに見せる。 「嘘?……皆に重大発表!」 4人の視線が、私達に注がれる。 「なんと、ヒデキ君がこっちに向かっていまーす!」 「何だよ、頑張れば空港に間に合ったんじゃないの?」 「サプライズが過ぎますな!」 「もう1人乗れるかな。やっぱ、女子の荷物邪魔だな」 「ヒデキ君、海外から来るから、荷物多いんじゃね?」 皆、様々な反応で大笑いしている。 夕方には合流できそうで良かった。 私はすぐに電話してみる。 でも、電源は切られてて……当たり前か、今雲の上だもんね。 「ねぇ、チェックインまで時間あるから、先にあそこ行かない?」 私が提案した場所は、同好の士だった皆はすぐにピンとくる。 「いいね!明日行こうと思ったけど、もう行っちゃう?」 「ヒデキ、悔しがるんじゃないの?」 「良いんだって。ヒデキに悔しい想いをさせたいの」 「まぁ、ロケハンだな。明日の」 監督志望だったヒロミらしい切り返しで、車内は笑いながら納得した。 宿泊先とは反対方向の安芸市方面へVOXYを走らせる。 国道55号線を土佐湾沿いに走らせるだけだ。
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