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私達が目指しているのは、崖だった。
吉良監督の遺作となった『淵漣物語~7人ミサキ~』のロケ地。
車内で誰かのお腹の虫が鳴いたので、私達は昼食をとることにした。
グルメサイトを検索すると、絶景スポットのカフェレストランがあった。
「崖の上に立つ絶景カフェだって!パスタとかもあるから、良くない?」
カフェレストランはすぐに見つかった。
「凄いな……崖に立つ処か、崖から飛び出してるんじゃないか?」
「映える~」
皆、口々に興奮しながら店内に入る。
遅めのランチタイムだが、待っているグループが何組かあり、人気店だと分かる。
3方ガラス張りの店内を支えるX型の筋交と天井梁。
硬質なウッドフロア。
クルーズ船のようでもあり、洋上に居る錯覚を覚える。
日替わりのリゾットとパスタを3つずつオーダーし、シェアする。
ブツ切りの地元野菜を使った美味しい料理。
温暖な気候だから、地物野菜はよく育っている。
そして、ジャンボパフェ。
40cmはあろうかという難敵を前に、私達は、男子チームにも援軍を要請した。
「うわ、マジか。もう学生じゃないんだから、こんなに喰いきれねえよ」
「見ただけで、もうお腹いっぱい」
「割り勘で払ってやるから、ベツバラで頑張れよ」
あえなく、男性陣は戦意喪失。
こんな時、ヒデキが居ればな……。
あいつ、甘いの好きだからな……。
定位置だったはずの隣を見る。サキと目が合う。
目が合ったサキは、グッとガッツポーズをとる。
多分、頑張って食べようね!と間違ったメッセージを受け取ったんだろう。
反対側を振り返る。
ガラス張りの絶景の先は、土佐湾の碧い水平線。
黒潮っていうから黒い海かと想ってた。
遠くに見えるのは、カツオ漁船かホエールウォッチング船か分からない。
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