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星降る夜に
「ふう、そろそろ寝るか」
颯太は、軽く息を吐きながら鉛筆を置いた。
時計は午前0時を回ったところ。まだそれほど眠いわけでもないが、受験直前のこの時期になったらもう無理は禁物だ。
高梨颯太は、中学3年生。成績は上位と言って間違いではない。
志望校も県内では有数の進学校だが、とりあえず合格圏内には入っているし、担任からも余程の大失敗さえなければ合格は間違いないだろうと太鼓判を押されていた。
となれば、今は何を置いても健康第一。体力を落としてインフルエンザになど罹ってしまったら目も当てられない。
颯太は部屋の電気を消し、ベッドに入った。その時。
学習机の上に置いたスマートフォンが光を放ち、同時に聞きなれたメロディーが流れ出した。
「んだよ、もう」
颯太は舌打ちしながらスマホを手に取ると、画面に示された発信人の名前を見て首を傾げた。
「ん?」
それは、クラスメイトの鈴木奏からだった。
奏は颯太とは成績も同じくらいでそこそこ気も合う、クラスの中では同じグループに属していると言っていい間柄だ。
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