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『高梨くんこそ、何かしゃべってよ』
「何かって、なんだよ」
『なんでもいいから』
「だから何でもじゃわかんねえよ」
『それくらい自分で考えてよ』
まるで教室の中でいつもやっている言い合いのようだ。本気ではないが、少しはカチンと来る。
「何もないなら切るぞ」
『えー、意地悪ぅん』
「っ!!」
突然発せられた甘え声に、今度は颯太の方が絶句する。
なんだこいつ、こんなキャラだっけ。
「な、何が意地悪だよ。ったく、しょうがねえなー…」
『あっ、ねえ。外見れる?』
は? いきなり何?
「外?」
『うん。星がとってもキレイだよ』
「何なんだよ、ったく。んーと……。うわっ寒っ!」
『えっ、窓開けたの?』
「あたりまえだろ、ガラス曇ってて見えねーもん。て、うわあホントだ。すっげー」
窓の外は、満天の星空だった。
『ちょっと待ってて、私も開けるから。あはっ、ホントだ寒ーい。
うっわあスゴーい! 空が全部お星さまだー!』
「おいコラ、なんでお前の方が驚いてるんだよ」
『えー、だって私はガラス越しに見てただけだもん。それでもキレイだったんだよ。けど、窓開けるとホントにすごいねー』
正に星降る夜。窓から身を乗り出すと、頭上に見覚えのある形を発見した。
「あ、オリオン座みっけ」
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