星降る夜に

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『えっ、どこどこ?』 「頭の上の、ちょい南西のあたり」 『あっホントだ。おっきーい! あー三ツ星だー。小三ツ星もあるー』 「小三ツ星なんてよく知ってるな」 『小学校で習ったもん、それくらい知ってるよー』  子供のようにはしゃぐ奏に、颯太も我知らず声が弾んでくる。 「んじゃあさ、小三ツ星の真ん中の奴って何だか知ってる?」 『何って、星じゃないの?』 「よく見てみ? ちょっとボヤけてない?」 『うん……』 「あれがかの有名なオリオン大星雲だよ」 『えっ、あれがそうなの!』 「知らなかっただろう?」 『うんうん! 星雲なんて望遠鏡でしか見えないと思ってた! えーっ、すごーい!』 「それと、オリオン座の少し右上の方にもっと大きな塊りみたいなのが見えない?」 『うん、あるある。ぼんやりって言うか、キラキラしてる』 「それが昴、プレアデス星団だ」 『えっ、あれが? すごーい、あんなにはっきり見えるんだー。うわー、こんなにちゃんと星を見たの初めてだよー』 「うん、俺もだ」  二人は真冬の寒さも忘れて、天界の煌めきに暫し見惚れた。 『ねえ、なんだか不思議だね』  奏が、ポツリと呟く。 「何が?」 『だって、私達こんなに離れているのに、同じ星を見てるんだよ』     
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