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「ああ、そうだな」
『声だってすぐ傍に聞こえるし…。高梨くんが隣にいるみたい』
「…うん」
『……』
「……」
『はくちゅっ!』
突然耳元で炸裂する、可愛らしい破裂音。
「あっ、大丈夫か?」
『うん。あはは、ごめん。冷えてきちゃった』
「もう窓閉めよう。俺も寒くなってきた」
『うん。そろそろ電話も切るね。ありがとう、楽しかった。また明日学校でね』
「ああ、また明日」
名残惜しくないと言えば嘘になる。でもまあ、明日になれば会えるんだし。
と、窓を閉めようとした、その時だった。
「あっ!」
『あっ!!』
颯太と奏が、ほぼ同時に声を上げた。
「鈴木っ、今の見たか!」
『うん見た見た! 流れ星!』
「だよな! 流れ星だったよな!」
二人が目にしたのは、天空を流れ落ちる一筋の光の矢だったのだ。
『うんうん! 絶対そうだよ!』
「すげー、初めて見たー。明日みんなに自慢してやろうぜー」
『えっ?』
興奮しまくりの颯太に対し、なぜか奏は言葉を詰まらせた。
えっ、て……。
「なんで?」
『だって……。私と電話で話してたって……、みんなに言っちゃうの?』
「あっ……。そっか、そうだな……」
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