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「そうでしたか。ところで、警察から電話って?」
「ああ……」
僕の問いに、急に百合子さんが口ごもる。何か余程の訳でもあるのだろうかと様子を伺っていると、百合子さんがゆっくりと口を開いた。
「実はね、みんなには言っていないんだけど、主人は殺されたのよ」
「殺された!?」
思わず大声を上げる僕に、百合子さんは人差し指を立てて口の前に当て、静かにするようジェスチャーで伝える。
「ええ。だから、形だけ通夜と葬式をしたけれど、遺体はまだ警察にあるのよ」
「でも、どうして? 犯人は?」
「わからないわ。犯人もまだ捕まっていないし。それに、主人の死には不思議な点があって」
「不思議な点?」
「ええ。いわゆる、密室殺人というのかしら」
「密室殺人!?」
「そうなのよ。だから、警察も今のところお手上げみたいで」
百合子さんはそこまで言うと、何かを思いついたかのようにポンと手を打った。
「そう言えば、寺崎さんは探偵の助手をなさってるのよね。もしかしたら、事件を解決できるかもしれませんわね」
「僕はあくまでも助手ですから。うちの先生なら解決できるかもしれませんが」
「だったら、お話しさせていただいてもいいかしら? 私たちも、できるだけ早く事件が解決することを願ってますの」
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