69人が本棚に入れています
本棚に追加
「失礼します。」
入って来たのは、私設警察DOKYOUのエリート、鷹野優斗であった。
「傷の具合は、いかがでしょうか。」
「心配してくれてありがとうございます。まだ、少し痛みます。」
「そうでしょうね。普通なら死んでもおかしくない深い傷を負ったんですからね。外科医も不思議がっていました。」
そうか、俺が気を失っている最中感じた気配は、この男だったのか。
「いえいえ、たまたま運が良かったんですよ。」
俺の謙遜を鷹野優斗は別の意味で捉えた。
「それにしても、尾上様着用の防弾服は凄いですね。完全に姿を消せる機能も兼ね備えている。是非、我がDOKYOUでも購入したいものです。」
「その件については、爺さんに伝えておきます。」
「ご親切に、ありがとうございます。」
俺の体の秘密を知らないものの、鷹の眼を持つこの男、まったく油断できない。敵に回したら、最も嫌なタイプだね。
「ところで、あの武装ヘリの身元は洗えたのかい。」
「そう質問するところをみると、操縦者が乗っておらず、人工知能搭載だったことはご存じなんですね。流石です。はい、所有者が誰なのかまったくわかりませんが、『MADE IN U・S・A』は、確認できました。」
「USAかい。まったく、ウザ。」
「はい。」
「いやいや、独り言です。それより、今後、後継者問題はどうなるのでしょうか。」
「その件につきましては、我々DOKYOUの関与するところではございません。天一郎様の親戚一族で話し合いが持たれているところです。」
「そうですか。何かわかったら、教えてください。」
「承知いたしました。では、失礼します。お嬢様、お邪魔しました。」
最後の台詞は、あかんやろ。意外と真面目そうに見えて、案外好き者だったりして。いわゆるツンデレタイプかも。
最初のコメントを投稿しよう!