遺産相続問題で燃える

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「失礼します。」  入って来たのは、私設警察DOKYOUのエリート、鷹野優斗であった。 「傷の具合は、いかがでしょうか。」 「心配してくれてありがとうございます。まだ、少し痛みます。」 「そうでしょうね。普通なら死んでもおかしくない深い傷を負ったんですからね。外科医も不思議がっていました。」  そうか、俺が気を失っている最中感じた気配は、この男だったのか。 「いえいえ、たまたま運が良かったんですよ。」  俺の謙遜を鷹野優斗は別の意味で捉えた。 「それにしても、尾上様着用の防弾服は凄いですね。完全に姿を消せる機能も兼ね備えている。是非、我がDOKYOUでも購入したいものです。」 「その件については、爺さんに伝えておきます。」 「ご親切に、ありがとうございます。」  俺の体の秘密を知らないものの、鷹の眼を持つこの男、まったく油断できない。敵に回したら、最も嫌なタイプだね。 「ところで、あの武装ヘリの身元は洗えたのかい。」 「そう質問するところをみると、操縦者が乗っておらず、人工知能搭載だったことはご存じなんですね。流石です。はい、所有者が誰なのかまったくわかりませんが、『MADE IN U・S・A』は、確認できました。」 「USAかい。まったく、ウザ。」 「はい。」 「いやいや、独り言です。それより、今後、後継者問題はどうなるのでしょうか。」 「その件につきましては、我々DOKYOUの関与するところではございません。天一郎様の親戚一族で話し合いが持たれているところです。」 「そうですか。何かわかったら、教えてください。」 「承知いたしました。では、失礼します。お嬢様、お邪魔しました。」  最後の台詞は、あかんやろ。意外と真面目そうに見えて、案外好き者だったりして。いわゆるツンデレタイプかも。
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