火を吐くドラゴンってか

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 俺だけ、鰻の焼いた骨を食べていたら、戦鬼が目で訴えてきた。魔鬼は、まだ特上うな重の余韻に浸っている。 「何だ、鰻って、骨もこんなに美味いのか。フランス人は、可哀そうだな。鰻の美味しさを教えてやりたい。」 「戦鬼姉さん、フランス人に失礼よ。ちゃんと、知ってるよ。」  あまりに戦鬼が大声で叫ぶものだから、店長直々に挨拶に出てきてくれた。  白い割烹着に身を包んだいかにもこの道一筋の職人の顔をした素敵な初老の男であった。 「本日は、ご来店、ありがとうございます。」 「私たち、この国の者ではなく、初めて鰻なるものを食べました。すごく美味しいです。最高です。」 「店長、この国の鰻料理界で最強か。」 「喜んでくれて私も嬉しいですが、私なんかまだまだ、未熟です。」  そうは言うものの外国人の美人姉妹に褒められて、もう嬉しくてたまらない様子だった。 「またのお越しをお待ちしております。」  男の従業員総出で、見送ってくれた。金をキャッシュで払う俺より、美人姉妹をだ。林さんは、嫉妬半分、優越感に浸っていたから、面白いよな。
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