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「早くしろ。ここ、オバケが出るんだぜ。」
「あっ、はい。」
俺の脅しが効いたのが、すぐに背中におぶさってきた。
俺は、女の子の持ち物らしいカバンを持ってやった。
「しっかり、つかまっていろ。口は閉じておけ。舌を噛むからな。」
その女の子は無言でうなずいた。
『うっひょお~。』
俺も健全なる高校生男子、背中で同い年くらいの女の子の発達した体の感触を感じてかなり興奮するが、ミイラ取りがミイラになるのはやぶさかではない。
俺は、お嬢様をおんぶしたまま走り出した。
『うっそお~』
お嬢様の心の声が聞こえた。それほど、俺の走りは速い。
あのくそ親父のしごきに比べたら、こんな40数キロのお嬢様をおんぶしてこんな楽な道を走るなんてお遊びにすぎない。
実際、お嬢様は声を出さずに楽しんでいるのがわかる。
俺は馬車の白馬かいとうそぶくが、何だか楽しい。
「ほらよ。誰かに連絡しな。」
明るい道路のバス停に着くと、俺はお嬢様をベンチに降ろして、カバンを渡した。
自慢じゃないが、こんな運動で呼吸は乱れない。まあ、別の意味で俺の呼吸は乱れそうになったけどな。
お嬢様は、カバンからスマホを取り出し、どこかに連絡していた。
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