狼は強いけど悪くない（現代ファンタジー：最高63位)

美人女子高生連続失踪事件の謎

　雄山の噴火が収まったものの、その周辺の地域で謎の失踪事件が連続して起きていることを、テレビのニュースで知る。
　今んとこ、７人だけど、女子高生ばかりで、三輪の前では言えないけどお世辞抜きで美人だ。夏休み中なので、世間は、「親に内緒で、愛の逃避行」「現代女子高生の乱れた夏休み」とか、面白可笑しく取り上げている。ネットでも色々好き勝手に騒がれているが、一つ気になる情報を見つけた。失踪した女子高生が通う高校はどれも女子高であった。それと、不確かな情報だけど、失踪した女子高生が通う女子高には、もっと美人もいるけど、何故か平穏無事らしい。どこかのアイドルグループみたいなのをつくるために秘かに引き抜かれたとか、かなり怪しい情報もあったが、見過ごすわけにはいかない。
　 俺は、三輪と連絡をとった。
　そんなある日、富山県でも有名な進学塾にかなりの美人女子高生が入構してきた。制服姿に長い黒髪を今どき珍しく三つ編みにしたスレンダー美人で、黒い眼鏡がまったく似合わない。三つ編みをほどき、コンタクトにすれば、絶対モテるタイプだ。
「遠呂智　りん」と名乗った。変わった名前だ。
　しかし、夏休みに進学塾に来るような男子高校生は興味を持つことも、心を乱されることなく、東大他一流国立大学現役合格を目指して勉強に勤しむ。
　美人女子高生、遠呂智りんもそんなこと気にすることなく、勉強に勤しむ。
　その進学塾の名物講師は英語の清原姫子先生であった。カリスマと言われるほど、受験生に絶大なる人気を誇る。日本人離れした美貌で、ネイティブなみに流暢な英語を話すだけでもスゴイのに、授業中、某有名アニメの魅力あふれる各人気キャラクターの台詞、「You　are　already　dead！」に始まり、「I　can‘t　hear　a　rogue　cry。」「I‘ll　fight　even　with　God、then！」「Turn　your　sorrow　into　anger　and　live！！」「Take　love　with　you　to　hell！」「Strength　is　jstice。It‘s　good　times　for　me。」「They　are　the　devils　in　human　skin！！」などを、効果的に用いるのであった。Mっ気のある受験生にはたまらない甘い鞭と言えるかもしれない。
　とにかく、生徒が目の色を変えて姫子先生の授業に喰らい付く中、遠呂智りんは退屈そうであった。元々、英語が苦手なのかもしれないが、姫子先生のプライドを傷つける行為である。