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「キャア~。」
二人組の女の子の悲鳴がラブホ街にコダマする。殴りかかったはずのリーダーの体が宙を舞い、アスファルトの上に叩きつけられたのであった。俺は、瞬時に脱力し、大東流合気柔術における胸取りみたいな技で投げたのである。脳天から叩きつけようと思ったが、か弱い女の子たちに血の海を見せるのは精神衛生上宜しくないので、背中からにしてやった。それでも、蛙のような悲鳴をあげて、あっけなく気絶する
「この野郎。」「よくも、リーダーを。」「許せねえ。」「やっちまえ。」
周りの仲間が、一斉に俺に襲いかかって来た。それぞれ、喧嘩慣れしているし、連携がとれているが、所詮、人を殺したこともないアマチュア。俺の敵ではない。二人組の女の子が瞬きする間に、全員、仲良くアスファルトの上に、転がる羽目となる。全員、うめき声をあげているが、これでも優しくしてやったんだからな。骨は折れていないはず、感謝しろよ。
「さてと、お待たせ。何して、遊ぼうか。」
俺も、意地が悪い。二人組の女の子には俺が人間の皮を被った悪魔に見えたであろう。顔がひきつっている。
「お兄さん、逃げた方がいいよ。こいつらのバックには、怖い人たちがついているのよ。」
「いくらお兄さんでも、本物の暴力のプロにはかなわないよ。」
「何だ、そういうことか。それなら、俺と同じだね。」
俺は、ニヤリと笑った。俺の犬歯は人一倍、発達している。俺が、冗談を言っているのではないことがわかる女の子たちは、ガタガタ震え出した。
俺は、気絶しているリーダーに活を入れ、左手で右手首を握って、起した。軽く握っているように見えるが、リーダーの額から脂汗が流れている。離れたくても離れられないし、俺が本気になれば、またアスファルトの上に叩きつけられるのがわかるからだ。
「ねえ、リーダー。渋谷でヤンチャしているなら、ワンマン・アーミー、暴走族狩りの狂い狼って聞いたことある。」
「ある、ある。まさか、・・・・・・」
「そう、正解。僕なんだな。ねえ、リーダーのバックの事務所に行かない。」
「やめてくれ、そんなことしたら、俺の命はない。」
「じゃあ、この子たちと今後、一切、関わり合いを持たないことを約束してもらえるかな。」
「する、する。だから、許してくれ。」
「わかった。許してやるよ。君たち、安心して。今後、一切、関わり合いを持たないことを約束してくれたよ。」
俺の話が終わるのを待たず、女の子たちはリーダーをボコボコにし、スマホを奪い、木っ端みじんに破壊する。怖い、怖すぎる。
何があったのか聞くのはやめにして、俺は、その場を後にするのであった。
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