ラブホ街を通りすがりの高校生のまとまらない話

2/5
69人が本棚に入れています
本棚に追加
/509ページ
「男二人ですか。」  名前の通り、昔ながらのラブホなので、受付の化粧の濃いオバチャンに嫌がられた。無理もない話だ。好青年と高校生らしき男の二人組、ヤバイよね。俺も、そんな風に見られたかと思うと、ショックだよ。 「違うよ。お姉さん。俺たちの連れが女を連れ込んで先に始めているんだよ。俺も、呼ばれちまってさ。その女、特別な癖があってさ。俺も呼ばれたからしかたなしに来たんだよ。なあ。」 「はい。そうです。」  俺は好青年の肩をバシッと叩いてやった。まったく、しっかり話を合わせろよな。 「ふ~ん、そのお兄さん、あれか。寝取られってやつかな。まあ、いい。そこの奥の106号室だよ。」  オバチャンはイケメンの俺にお姉さんと呼ばれたせいか、機嫌が良かった。  106号室の前に行くと、廊下まで中の様子が伝わって来た。好青年は、うずくまり耳を押さえている。俺はというと、必死に興奮を抑えている。許してください。僕は健全なる男子高校生ですから、免疫がないんですよ。  話を進めよう。あいにく、ドアの鍵はかかっている。さて、どうしたものか。こんな安っぽいドア、一撃必壊だが、オバチャンに叱られるしな。出たとこ勝負で行くか。俺は、好青年を廊下の片隅に隠し、ドアを激しくノックしたのである。  
/509ページ

最初のコメントを投稿しよう!