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「あっ、はい。私の両親は埼玉県秩父市にある「三峯神社」で
運命的な出会いを果たし、結ばれたのです。結婚を報告しに
行き、子宝祈願をして、私が生まれたんですよ。」
「へえ~、三峯神社(みつみねじんじゃ)ねえ。聞いたことないわ。」
俺はわざととぼけてみたら、思った通りお嬢様はまくってきた。
「三峯神社の鳥居は、日本に7つしかない「三ツ鳥居」という
珍しい鳥居で、関東一のパワースポットとして有名です。
実は、それだけではないのです。三峯神社の信仰は何とあの
狼なのです。狼は「大神」とも書き、動物界では一番徳の高い、
神様の遣いとして知られているんですよ。それなのに、世間では
グリム童話の赤ずきんちゃんなんかの影響で、残酷で悪い動物と
嫌われています。もう私、悔しくってたまりません。シートン動物記の
狼王ロボをお読みになってもらいたいです。」
そこまで一気にまくったお嬢様は、まるで狼に恋をしているような
表情だった。狼愛か。俺は、ちょっとだけこのお嬢様が好きになった。
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