お掃除ロボットは死を呼ぶ悪魔か

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お掃除ロボットは死を呼ぶ悪魔か

 次の日のマスコミはこれでもかと泰山天一郎の死を取り上げた。日本でも有数のホテル・グループ、TAIZANの創始者、ホテル界の山賊王と呼ばれた奇才だけに、朝からテレビのニュースで報道されっぱなしだ。どの新聞でもトップ・ページ一面で取り上げられている。    しかし、マスコミは、隠し子が4人もいたこと、武装ヘリが操縦者がいなかったこと、人工知能・AI搭載であることは知らされていないようだった。  マスコミの熱狂ぶりもほどよく冷めたある日の早朝、隠し子の四人と泰山天鳳たち理事会との会見、後継者を決める会議が持たれることとなった。私設警察DOKYOUの警戒態勢もう最高レベルであるが、秘かに警察にも警護を頼んだ。面子を気にしている場合ではない。万が一、前回のような事件が起こったら、全員切腹と覚悟を決めている。    天鳳主導で始まったものの、腹違いの四人の娘たちは大人しく黙っているような玉ではない。特に、東京の三ツ星ホテルの女支配人・東村美知留は、料理勝負のことは完璧に忘れ去り、厚かましく、我こそはと継承者と息巻く。厚顔無恥とはこのことを言うのであろう。当然、京都の一流料亭の女将・西野美也子、金沢の有名寿司屋の女将・北澤美雪も、女の意地か、美知留にだけは負けたくないと敵愾心を燃やす。理事会の役員も、ちょっとでも口を出そうとしたら、今度は3人がかりでまくしたてられる。とても、太刀打ちできない。天鳳も額に汗を流して、何とか話し合いに持っていこうとするが、火に油を注ぐ結果となってしまっている。    そんな中、あのまま何も無ければ、後継者に選ばれていたであろう伊勢の老舗旅館の女将、南原美汐だけは沈黙を守っていた。会議がこのまま夜まで続くのか、お昼は出るのかと心配していたのだ。
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