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危ない夏休みは終わらない
夏休みは長い。俺の高校は公立だから、世間一般並みだ。私立の進学校だと夏休みは短いみたいだけど、何だろうね。
俺と三輪は都内の割と大きな図書館にいた。三輪の部屋だと、折角いい雰囲気になっても、邪魔が入るからだ。
俺も三輪も金には不自由していないから、バイトする必要はない。三輪はともかく、俺もまだまだ進路は先の話で、受験勉強って何ですかって感じかな。
「ねえ、今度はどこへ旅行に行こうか。」
無事、日本に戻ってこれたからよいものの、もうこんなことをおっしゃる。
「三輪の行きたいところで、法律や世間一般のモラルに反しないところなら、どこへでも行くよ。」
「本当、じゃあ今度はどんなモンスターがいるとこにしようかなあ。」
こいつが言うと、冗談ですまないから怖い。
刺激、スリルに飢えていると言ってもよい。最早、中毒だったりして。お嬢様のくせに、危ない傾向だな。
「あのう、もしかして、魔鬼さんから他にも聞いているとか。」
「ご名答。黄金を守る、空飛ぶ聖獣・グリフォン、意外と賢く、金持ちな巨人の末裔・トロール、富と幸運をもたらす宝石の主・カーバンクル、え~と、それから何だったっけ。」
「まだ、あるんかい。」
流石に、ツッコミをいれてしまう。
「皇君は、どうなの。」
この時、俺の脳はスーパーコンピューターを遥かに上回る計算を行った。
「金銀財宝より、三輪と結ばれるにふさわしい聖地がいい。」
「・・・・・・」
「どうだ。嫌かい。」
「もう、皇君ったら。最高。」
三輪は俺に抱き着こうとしたが、流石に人目を気にしてか、断念した。
只でさえ、そこいらの芸能人の遥か上を行く美少女だから、三輪は老若男女から視線を集めてしまう。かくいう俺も、イケメンの部類に入るからね。
俺たちは、二人で、旅行の行き先を調べるのであった。
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